公正証書による遺言書を作成しておけば、紛失や変造の心配はなく、方式違反や文言に対する疑義等を防止することができ、最も確実なものとなります。
当事務所では、遺言書を作成されるなら、公正証書遺言をお勧めしています。
公正証書遺言の長所と短所
長所
公正証書遺言の長所としては、次のとこが挙げられます。
- 専門家である公証人が作成するため、方式や文言の不備で遺言書が無効になるおそれがない
- 原本が公証役場に保管され変造のおそれがない
- 電子データでも保存されるため、紛失、滅失のおそれがない
- 遺言者が文字を書くことができない場合でも作成できる
- 検認の手続きが不要である
短所
- 費用がかかる
- 公証役場に行かないといけない
- 公証人と証人二人に内容が知られる
公正証書遺言の作成要件
公正証書とするためにはいくつかのの要件を満たさなければなりません。
2人以上の証人の立会いのもと作成すること
公正証書遺言の作成には2名以上の証人が必要です。
公証人が、遺言者の意思を正確に筆記しているかを確認するためです。
作成中は席を外すことなく初めから終わりまで立ち会っていなければなりません。
証人になるために特別な資格は必要ありませんが、次の人は証人になれません。
- 未成年者
- 推定相続人、受遺者、これらの配偶者及び直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
証人は、遺言書の内容を知ることになりますから、べらべらとしゃべりそうな人は避けましょう。
当方で、遺言書の作成を依頼していただいた場合は、信頼できる証人を手配させていただきます。
遺言者が遺言の趣旨を口頭で公証人に伝えること
遺言者は遺言の内容を直接口頭で、公証人に伝えなければなりません。
代理人によるものは認められませんが、遺言者は覚書等を準備しておいて、それを見ながら公証人に伝えることはできます。
なお、口をきくことができない遺言者の場合は、例えば手話通訳者などを利用することもできます。
公証人が遺言者の言葉を筆記し、遺言者と証人に読み聞かせること
遺言者が耳が聞こえない場合は、通訳人の通訳または、閲覧により遺言者に確認してもらう方法を取ることができます。
遺言者、証人が署名、押印すること
遺言者が署名できない事情がある場合には、公証人がその事由を付記したうえで、署名に変えることができます。
公証人が署名、押印すること
最後に公証人が、正しい方式で作成されたことを付記して、署名押印します。
これで公正証書遺言の完成です。
公正証書遺言を作成する際に用意するもの
公正証書遺言を作成する際には、次のものを用意しておかなければなりません。
- 遺言者の実印
- 遺言者の印鑑証明書
- 遺言者の戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 受遺者の住民票の写し
- 証人の身分証明書、認印
- 不動産登記事項証明書、固定資産税評価証明書(相続財産に不動産がある場合)
- 預貯金通帳
- 株券の写し等
- 法人登記事項証明書、印鑑証明書(受遺者が法人の場合)
遺言書作成前の公証人との打ち合わせにおいて、準備しなければならないものをしっかりと確認しておきましょう。
公正証書遺言を作成するのに必要な費用
公正証書遺言を作成するには、公証人手数料が必要です。
公証人手数料は相続財産の価額に応じて決められています。
下記表の金額に11,000円を加算した金額が作成のための手数料になります。
また、下記表の金額は、相続人または受遺者1人当たりの金額です。
相続財産の価額 | 公証人手数料 |
100万円まで | 5,000円 |
200万円まで | 7,000円 |
500万円まで | 11,000円 |
1,000万円まで | 17,000円 |
3,000万円まで | 23,000円 |
5,000万円まで | 29,000円 |
1億円まで | 43,000円 |
例えば、相続財産が5,000万円で相続人が2人、それぞれ2分の1ずつ(2,500万円)の場合の手数料は、
1人分が、23,000+11,000=34,000円で、2人合計で68,000円 となります。
相続財産が5,000万円で、相続人が3人、1人が2分の1(2,500万円)、2人が4分の1(1,250万円)の場合は、
2分の1の人が、23,000+11,000=34,000円
4分の1の人が、23,000+11,000=34,000円で、68,000円
3人合計で、102,000円 となります。
相続財産が同じ価額でも相続人が多い方が、一般的に手数料が増加することになります。
最後に公正証書遺言の謄本と正本を受け取り、j上記手数料を支払って、終了になります。
お疲れさまでした。
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