あなたが、将来、治る見込みのない病気にかかり、意識がない状態で、回復の可能性が亡くなったときの話です。
あなたは、ただ死期を先延ばしにするためだけの延命措置を望んでおらず、人間らしく自然に死なせてほしい、また、家族の負担を考えてもその方がいいと考えています。
このような場合、あなたの希望を実現させるためには、どのようにすればよいでしょうか?
延命のためだけの治療行為を中止を一般に「尊厳死」と言います。
尊厳死は、日本の法律上確立されたものではありませんが、過去の裁判の結果などを踏まえ、次のような場合には認められる可能性があるといわれています。
- 医学的に見て治療不可能な状態であること
- 死期が迫っていて、治療行為が人工的に死期を引き延ばすだけとなっていること
- 本人の意識が正常な段階で、延命治療中止に関する任意の意思表示があること
上記3つめの「任意の意思表示」について、明確にするために公正証書にするという方法が、最も確実ではないかと思われます。
延命治療を拒否する公正証書として、「尊厳死宣言書」を作成することで、あなたの意思を明確にしておくことで、いざというときにあなたの希望を叶えることの可能性が高まります。
尊厳死宣言書の内容としては、次のような例が考えられます。
私○○は、私が将来治療不可能な病気にかかり、 死期が迫っている場合に備えて、 私の家族及び私の治療に携わる方々に、 以下の要望を実現していただきたく、ここに宣言いたします。 1 私の病気が、 現在の医学では治療不可能な状態に陥り死期が迫っており、 治療行為が人工的に死期を引き延ばすだけの状況にあるということが、 私の担当医を含む2名以上の意思により診断されている場合には、 人間としての尊厳を保ったまま死を迎えるため、 苦痛を和らげる最小限の医療行為を除く 一切の延命治療を中止してください。 2 私は、尊厳死について、 妻○○、長男○○、長女○○に伝え、 全員の承諾を得ています。 私が、前項記載の状態になったときは、 家族及び私の治療に携わる方々は、 私の意思に従い、 私が人間としての尊厳を保ったまま 死を迎えられるように配慮してください。 3 警察・検察等の捜査機関、その他の訴追機関におかれては、 私の家族及び医療に携わった方々が、 私の尊厳死宣言に沿った行動をとったことは、 私の意思を実現するためであることをよくご理解のうえ、 これらの者を犯罪捜査や訴追対象としないようお願いいたします。 4 この意思表示は、 私の精神が健全な状態にあるときにしたものであり、 私自身が撤回しない限り、 その効力を維持するものであることを明らかにしておきます。
ただ単に公正証書を作成しておけばいいということではなく、上記2にあるように、ご家族の理解を得ておくことが最も重要です。
尊厳死という考えに至ったのは、家族の肉体的、精神的、経済的な負担を少しでも減少させるためであることを家族に伝え、了承を得ておきましょう。
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